トイレに向かった俺は絶句した

キャンプ場の片隅にぽつんとある公衆トイレは
いわゆる「ぼっとん便所」

電気もなく昼間でも真っ暗で
便器の穴は地獄まで届きそうなほど暗く深い

あまりにも恐ろしく
こんなところで用を足したら
暗黒のブラックホールに吸い込まれるんじゃないかと
オレの便意は一時退散した

「みんなあそこでしてんのか・・・すげーな」

そんなことを思いながらメンバーの元に戻った

それからは大変だった
便意はたいてい全員が集合してるような場合に訪れる

オレは決死の思いで
ひとり自分の肛門と闘っていた

まさに孤軍奮闘
ルバング島の小野田さんと同じだ

「この戦いはいつ終わるのだろう・・・」

もうスタッフの説明も指示も頭に入ってこない
数分間続いたビッグウェーブがやっと去り

ふーっと一息ついたその瞬間


プーっ

・・・・・

オレがこいた屁は
再び沈黙の中に響き渡った


つづく